プレゼン技術のまとめ 構想編①
自分は、今回のアニメ講演のような娯楽プレゼン、学会などでの研究発表、グラントを貰うためのビジネスライクなプレゼンなど、結構プレゼンテーションをする機会が多かったりします。
これまでいろいろな情報ソースや経験を基に自分なりのやり方を作り上げてきたのですが、今日は、ここでいったん、確認の意味も込めて技法の言語化に挑戦してみたいと思います。
#最近、公開という前提のもと文章化すると非常に考えがまとまることに気づきました。昨日のRosheim氏しかり、ASIMOしかり、夢しかり。
手前味噌ですが、この方法は、「娯楽」「学術」「ビジネス」の3分野をカバーする、結構Generalな技法だと思います。使えると思ったらぜひ活用してやってください。
早速ですが、まず、プレゼンテーションの作成を大きく3つのステップに分けると、
・ 構想
・ スライド、資料作成
・ 発表
の3つに分けられると思います。
全てを書く時間は無いので、今日は「構想」について考えてみることにします。
いきなりスライドや資料を作り始めず、構想を丁寧に練ることによる利点は、「何のためのプレゼンか」を明確にし、方向性をきちんと定めることにあります。この過程をおろそかにすると、「プレゼンのためのプレゼン」に陥ってしまうことが多々あるため、絶対に飛ばしてはいけません。
構想を練る過程で用意するものは、紙とボールペンです。鉛筆は消したくなるのであまりお勧めしません。一度出したアイディアは、おかしいと思っても消さないのが鉄則。ダメだと思ったら×をつけるなどして残してください。また、きれいに書こうとか、まとめようとするのもダメ。構想の過程では、とにかく思いついたことをぐちゃぐちゃに書きなぐるのが重要です。
上記を踏まえて、以下の流れに沿って考えをまとめていきます。
最初に書き出すのは、「聞き手は誰か」ということ。考えうる全ての聞き手のカテゴリを書き出します。例えばゼミ発表だったら「担当教授、その他の教授、自分より詳しい学生、同程度の学生、自分より知らない学生、分野が違う学生」などのようになります。
次に、重要と思われる聞き手にマークをつけます。例えばゼミ発表の場合だと、「教授」にアピールするための発表なのか「学生」に説明するための発表なのかでアプローチが変わります。
この過程によって「誰に対するプレゼンなのか」が明確になりました。
次に、「何を伝えるのか」を明確にします。
まず、上記で最も重要とされた聞き手に対して何をするのが目的のプレゼンなのかを書き出します。これは「○○について理解してもらう」だったり「30分間楽しんでもらう」だったり「金を出す気にさせる」だったりします。
次に、サブの聞き手に何をするのかを書き出します。ゼミの場合だったら、自分より知ってるor同程度学生に対しては自分の知識やアイディアをPR、自分より知らない学生にはプレゼンによって知識を得てもらう、分野外の学生に対しては、なんとなくやってることを理解してもらったり、興味をもってもらうことが目的になります。この点を明確にすることにより、専門用語の使い方や、知識の前提をどこに置くかなどの方針が固まります。これをおろそかにすると、蚊帳の外に置かれる聞き手が現れ、発表時の雰囲気が悪くなったりします。
ここまでの過程で、「誰に対し、何を伝えるか」が明確になりました。
次の過程では、実際に自分が発表可能な内容を徹底的にリストアップします。つまり「使える話題」を最大限まで増やしてやろうというわけです。
この過程では、まず白紙を大量に用意します。そして、プレゼンのテーマに関して思いつくことを、一つ残らず、どんなくだらないことでも書き並べます。関係なさそうなことでも、一瞬でもあれ?って思ったら書く価値があります。また、使えそうな「素材」も全てリストアップしておきます。
これ以上出ないかなと思ったら、書き連ねた紙を机に並べ、じっと眺めます。そうすると、ワード同士の関連性などからまた何か思いつくことがあるので、さらに書き連ねます。
そろそろいいかなと思ったら、次に書き連ねた内容を関連項目ごとにまとめ、タイトルをつけます。この作業をすると、抜けていた項目に気づいたりするので、その場合は前のステップに戻って抜けを補います。項目が被ったり近かったりするものは、内容に応じて統合、削除をします。
この過程では、脳内に蓄えられている知識を可能な限り吐き出し、再構築することによって、自分が知っていること、できることを最大限まで引き出してやります。この過程をおろそかにすると、知識の一部しか活用できず、多くのチャンスを失うことになります。
これまでの過程で、「誰に対して、何を伝えるか」を明確にし、それを実現するため「自分が使える話題は何か」を確認しました。
次の過程では、「テーマ確認シート」を製作します。これは今回行うプレゼンがどんなものなのかを見渡すためのシートで、今後これを見ながら構想を練っていく、重要なものです。
まず、A4サイズの紙を一枚用意し、上から
①テーマ
②目的
③対象者
④背景
⑤時間
⑥概要
⑦ポイント
と、だいたい等間隔で書き連ねます。
そして、以下のやり方でそれぞれの項目を埋めていきます。
①テーマ: プレゼンの内容を一言で言うと何かを書きます。「使える話題」を基に暫定的に考えます。何度か書き直すことになると思います。
②目的③対象者: 別紙で書きなぐった、「誰に対し、何を伝えるか」をまとめなおします。
④背景: プレゼンを行うことになった背景を書きます。
⑤時間: 与えられた時間の長さを書きます。
⑥概要: 大まかなストーリー、大筋、こんなことを話したいなど、「使える話題」を基に妄想します。これも何度か書き直しを想定しています。
⑦ポイント: 概要の中でも、特に強調したいことは何か。できれば一点にしぼります。ここまで作業をしていると、ポイントも浮かんでくると思います。出なければ今は空欄で。
このシートは、言わばプレゼンの方向性を一枚にまとめたものです。よって、変更があった場合にはすぐに書き換えることになります。
これを見ながら作業を進めることにより、「何のためのプレゼンか」を常に念頭においた、しっかりとした方向性のあるプレゼンの構築が可能になります。
この過程によって、どんな方針でプレゼンを構築するのかが明確になったかと思います。
これまでの行ってきたことは言わば、「骨」であるテーマ部分と、「肉」である自分が話せる内容の確認の過程だと言えると思います。
次のステップでは、テーマである「骨」を基に、「肉」をいかに配置していくかを考えます。
と、気づいたら異常に長くなってしまったので今回はここまでにしておきます。
次回(があるとしたら)、方針と話題を基に、プレゼンのストーリーをどう構築していくかをまとめてみたいと思います。
ご意見、感想、こうした方がヨクネ?とかあったら適当に教えてください。